経営計画の実行性を高めるポイント「一体感」について考えてみる「8. 「一体感」の必要性と作るポイント(7)」を追加しました

前回に引き続き、「(4)取締役の動機付け」について考えていきたいと思います。

 

前回は、取締役や幹部の動機付けに、時間がかかっている事例について、今の経営者の考え方や取締役や幹部への接し方を、先代の経営者の考え方、長年培われてきた、企業の風土や文化、価値を尊重し、その上で、自分自身の考え方や判断基準を伝えていくように、変えるという点までお話しました。

しかし、現実は、今の経営者が企業の風土や価値、理念を理解するようには、進みません。

それは、今の経営者の複雑な感情にあります。つまり、先代経営者に対する、批判的な態度です。

それは、業績が厳しくなっている一因を先代が作っているからです。そのことは事実ですが、今事業を支えている、新しい収益の柱を作ったのも先代です。どうしても、業績の悪化の原因である先代への非難ばかりに目が行き、このような態度になるのは、分からなくはありません。

 

但し、取締役、幹部の方の大半は、先代やその前の経営者の姿を見て、前の経営者に仕えてきました。それが、取締役、幹部の方が考えるスタンダードな経営者像になります。つまり、取締役、幹部の方は、その経営者、会社の価値、理念、考え方に共感して、日々会社のために、働いてきていることになります。

ですから、前の経営者に対する批判的な態度は、長年培われた価値や風土とは、まったく違うものを現経営者は発信することになり、取締役、幹部の方からすると、今の経営者が何を考えているのか分からなくなってしまうということだと思います。当然、取締役、幹部の方は、行動がしにくくなり、なかなか、行動計画が進捗しなくなっているのではないでしょうか。

まずは、経営者がその点を考えることをスタートすれば、少しずつ変わってくるのではないかと思っています。しかし、実際は時間がかかっています。

 

それは、経営者の方に考えるだけの余力が出てきていないということも影響しています。実は、最大の経営者の悩みが、その時点では、資金繰りにあり、経営者自身のやる気が「お金の問題」に大きく左右されるということです。また、自分が苦しんでいるこの要因を作ったのも、前の経営者であり、納得できていないわけです。

ここを解決しないと、経営者が考えることや実際に動きだすことができない、また、実際に動きだしてもスピード感がなかなか出てこないのではないか、と思っています。

 

みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 澤田 兼一郎
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/sawada/

 

前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c02/