「意識」のリストラクチャリング6

「意識改革」は、「聞く」→「理解」→「気づき」のアプローチで考えていけば、改革できる可能性が非常に高くなること、「聞く」体制になってもらうことまで考えてきました。それでは、「理解」について考えていくことにしましょう。

「理解」してもらう為に必要なことは、過去の実績に基づいた事実を示し正しい認識を持ってもらうことであると考えています。ここで重要なことは、その会社にある様々な過去のデータから導き出された事実(ミクロの視点)と業界全体もしくは経済全体から導き出された事実(マクロの視点)の2つから会社が置かれて事実を示すことにあります。とにかく色眼鏡を通した事実、外部のコンサルタントが味付けした事実であってはなりません。理由は簡単、本当の会社の特徴が分からなくなりますし、うその事実を会社全体に流すことになるからです。

受注工事業で考えてみましょう。会社にある過去のデータの分析をする代表的なものは、「過去の工事台帳分析」です。業界全体からの分析なら、「同業他社黒字会社との比較」でしょうか。

ある会社で面白いことがありました。それは、「聞く」体制になってもらう為のヒヤリング時にほとんどの従業員の方々から、「Aさんの受注してくる仕事は、金額は少ない、利益率は低い、会社に何の貢献もしていない」という意見を頂きました。しかし、工事台帳の分析をしたところ、その意見とはまったく正反対の結果が導き出されました。全営業マンの中で一番受注していたのも、工事の利益累計もそのAさんが一番でした。会社の総意とは明らかに反対の結果が出てきたわけです。ここで重要なのは、会社の真の強みは、そのAという営業マン自身のノウハウだということが「理解」されたということです。詳しく書くことはできませんが、会社全体でそのAさんのノウハウを共有することで業績が回復したことを付け加えておきます。

ここで、仮に過去のデータから導きだされた事実なしに、外部コンサルタントである私が、会社の総意が正しい事実だと思い、その方向に会社の出口を示したらどうなるのでしょうか?絶対に業績回復はすることはなかったでしょう。ですから、真の事実を示し理解していただくことがどれほど重要な作業であるかご理解していただけたと思います。

それでは、「理解」をしていただく為にはどのような能力が必要になるのでしょうか?「聞く」体制になってもらうためには、優れた営業マンの能力が必要であるとお話しました。次に「理解」していただくために必要な能力について考えていくことにしましょう。

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