これは使える!ちょっと工夫”業務改善への道” 「管理資料・会議資料作成のムダ(7)」を追加しました

建設工事業のC社様より、工事部門で利用している管理資料(実行予算管理に関するもの)について相談がありました。工事部長がExcelで管理を行おうとしていたのですがうまく行かず、実行予算管理専用ソフトウェア(以下、実行予算管理ソフト)の導入も視野に入れ検討したいとのお話がありました。

 

【9.ソフトウェア導入ですべて解決?】

工事部長は、実行予算管理ソフト導入に前向きで、色々とパンフレットを取り寄せ、比較検討を行い、「どのソフトがいいのか?」と悩んでいます。

 

ただし、実行予算管理ソフト導入を急ぐ前に、管理がうまくいっていない理由を再確認することが重要です。代理人からのヒアリングなどでは、主に3つの問題点に絞られたのですが、実行予算管理ソフトを導入することによってこれらの問題点が解決され、スムーズな実行予算管理が行えるのでしょうか?

 

工事部長と一緒に3つの問題点について個別に検討することにしました。

 

(1)現場代理人のスキルにより、実行予算の作成が遅れたり、きちんと作成できないといった問題に

  ついては?

   

    →現場代理人の個人的なスキルや提出期限が守れないといった社内ルールの徹底ができていない

     事は、実行予算管理ソフト導入以前の問題ではないか。

 

 

(2)Excelにて「実行予算管理シート」を現場毎に作成するのですが、現場代理人によっては使いやすい

  ようにフォーマットを変更してしまいます。

 

そうするとExcelシートが工事によって違ってしまい、全社分を集計する際に手間が掛ってしまいます。また実行予算に使用する項目や発注単位が社内で統一されておらず、同様に集計作業など社内運用上使いづらいといった問題が起こっていることについては?

 

   →入力項目や単位、フォーマットなどはすぐにでも社内ルールを決めて対応することができ

     る。しかも実行予算管理ソフト導入時までにやっておかなければならない問題だと思う。

 

(3)PCやExcelの操作が苦手といった、現場代理人のPCスキルに問題があるものは?
   

   →もちろん、実行予算管理ソフトを導入する前に対応しなければいけない問題。

 

 

このように問題毎に分けて考えると、実行予算管理ソフト導入の検討以前に解決しておかなければならない問題が重要な事が解ってきました。これらを解決しなければ、例え実行予算管理ソフトを導入しても、社内で効果的に運用することはできないでしょう。

 

そもそも、工事部長が言うようにC社様に実行予算管理ソフトは必要なのでしょうか?工事部内で実行予算管理を行うのであれば、Excelを活用し社内ルールを明確にして運用すれば充分です。

 

しかし実行予算管理ソフトを導入するメリットもあります。原価管理データを他の業務に利用することや自社の原価データベースとして利用するなど現時点より高度な業務を効率的に行うことが出来る様になるのも事実です。

 

その為にはまず、自社の実行予算管理のルール整備を行い、現場代理人の実行予算管理レベルやPCの操作面などのレベルアップを行うことが必要条件となります。

 

工事部長と検討した結果、実行予算ソフト導入を一旦棚上げし、それ以前の問題を解決することにしました。全社的にPCのスキルをアップする為の勉強会を開催したり、PC操作の得意な人が現場代理人をサポートできるような社内体制をとりました。

 

また、実行予算策定の為の社内ルール策定や実行予算に使用する項目の整備に着手することにしました。しかしこれは思った以上に大変な作業になりました。詳しくは次回にてお話しようと思います。

 

みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yamashita/

 

前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c01/