2007/09/13

1.M&Aの法務

今回から「M&Aの法務」というテーマでお送りします。

 

1.M&Aに関連する法律
会社には、株主、会社債権者、従業員、消費者など、さまざまな利害関係者が存在していますから、ある会社がM&Aを行うと、その会社をとりまく利害関係者の利益に大きな影響を与えることになります。

そこで法律は、それぞれの利害関係者の保護のために様々な規定をもうけています。たとえば、会社法、金融商品取引法(昨年の6月に成立したことにより証券取引法が段階的に改正されてきましたが、今月から完全施行となり、9月末に証券取引法から金融商品取引法に改題されます)、独占禁止法、労働承継法など、M&Aを行うときに関係してくる法律はたくさんあります。

加えて、建設業の場合には建設業法も関係してきます。建設業を営むためは、場合に応じて国土交通大臣または知事の営業許可を受ける必要があり、さらに、公共工事の入札に参加する建設業者は、事前に経営事項審査(経審)を受審しなければなりません。M&Aを行う場合には許可や経審の問題を考慮する必要がありますが、建設業法は、特定の場合に、経審の点数加算や実績の承継などの特例をもうけてM&Aに対してインセンティブを与えています。
M&Aに関係する法律のうち、たとえば金融商品取引法や独占禁止法は、上場企業あるいは大企業に関係する法律であり、中小企業の場合には考えなくてよいケースがほとんどでしょう。しかし、会社法はすべての会社の運営全般に深い関わりがあり、M&Aを考える場合にはその基本法ともいうべきものです。ですから、ここでは中小企業、その中でも特に建設業を念頭において、会社法を中心に、必要に応じて建設業法の規制にもふれながらM&Aの法務について考えてみようと思います。

 

2.M&Aの手続と会社法
主に株主や債権者などを保護するために、会社法は、M&Aの具体的な方法(手法)について、その手続を定めています。
たとえば、吸収合併の場合であれば、原則として、合併契約の承認や締結、合併契約書の記載内容、株主総会特別決議、債権者の保護手続、反対株主の株式買取請求権の行使などについて細かく決められています。会社が合併する場合には、決められた手続を確実に実行しなければなりません。法律上の手続に従わなかった場合には、その合併自体が無効となることも無いとはいえないからです。これは、他の手法を使う場合でも同様です。

もっとも、交渉がまとまってM&Aが実際に実行される段階では、法的な手続については法律の専門家である弁護士や司法書士の方の指導や助言のもとで行うと思いますから、当事者といえども法律の内容の詳細まで100%把握する必要はないでしょう。しかし、条件交渉の段階でM&Aの手法を決める際には、税務や会計の問題とともに、その法規制についても考慮しなければなりませんから、当事者であればある程度は知っておく必要があると思います。

 

3.会社法が定めるM&Aの手法
M&A(Mergers and Acquisitions)を日本語にすると「合併と買収」です。
「合併」は、2つ以上の会社が合併契約書に基づいて法的にひとつの会社になることです。
他方、「買収」はその会社の株式や資産を取得することにより会社の経営権を手に入れる方法です。「買収」のうち、もっともよく使われるのは、株式を買取ることによって経営権を手にいれる方法でしょう。さらに、経営権を完全に手に入れるために、株式移転や株式交換という手法を使って100%子会社とする場合もあります。この他に、資産を取得する方法としては事業譲渡や会社分割という手法があります。 

このように、会社法が定めるM&Aの手法には、前述した合併の他に、株式取得、株式交換、株式移転、事業譲渡、会社分割などいろいろな方法があります。

次回からは、これらの手法のメリットおよびデメリット、そして会社法がその手法に関連してどんな規定をおいているのか、さらに、その手法が実行された場合の建設業の許可や経審の実績に与える影響も併せてみていくことにしましょう。

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