テーマ選定について(1)【中小製造業のQCサークル:第4回】

前回は、ある金型メーカーでのQCサークルの展開事例として、Nさんをリーダーとするサークルが編成されたところまでお話しました。
今回は、このN主任の「THE金型名人」サークルが、どのようにテーマを選定したかという事例をもとに、QCサークルのテーマ選定について考えてみたいと思います。

QCサークルのテーマ選定

サブリーダーとサークル名称が決定した後、Nさんたちは早速、どんなテーマで展開するかの議論に入りました。
テーマ選定は、QCサークルの活動フローの中でも、最も重要で難しいと言えるかも知れません。

初回では、QCサークルへの取組みの大きな意義として、「問題解決手法を身に付ける」ことをお伝えしましたが、同様に「問題発見能力を身に付ける」ことも期待されます。
QCサークルでは決められたテーマについて問題解決するのではなく、まずは自分たちで問題を見つけ、その大きさ(解決できたときの成果の重要度)を見定めながら、テーマを決めていく必要があるからです。

また、QCサークルのテーマとしては、会社の方針に則りながら、皆で参加して、楽しく活動できるテーマにする必要があります。
一般的にテーマのアイデアを出すには、「不」のつくデータを集めると良いといわれています。
例えば、「不良」「不具合」「不調」「不安全」「不明確」「不平」、そしてお客様からの「不満」などです。

「THE金型名人」では、Nさんの投げかけに対して、メンバーが現状業務での困りごとなどを、ワイワイガヤガヤと議論を始めました。
「部品棚が整理できていない」、「事務所の整理整頓ができていない」といった問題や、「納品後の品質トラブルが多い」、「お客様から金型製作に時間がかかりすぎると言われている」といったCSに関するもの、「夜勤の交代制が不平等になっている」といった社内ルールに対する不満等、日々の業務の中で皆が感じている問題意識が話し合われました。
一通りの問題点が挙がった段階で、これらの中からテーマを絞り込む必要があります。

それでは、次回はNさんたちがどのようにテーマを絞り込んでいったかをお話していきたいと思います。

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この記事の執筆者

犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。

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