2008/03/13

7.事業譲渡に関する株主総会決議の要否

前回までのところでは、事業譲渡の意味やメリット・デメリットなどをお話ししてきました。今回は、事業譲渡に関する株主総会決議の要否について確認していくことにしましょう。

 

事業の譲渡(あるいは譲受)は、業務執行の一環ですから本来なら取締役(取締役会)が決めれば済むことなのですが、場合によって株主総会の承認が必要になることがあります。それが次の(1)、(2)の場合です。

 

(1)譲渡会社であれば、事業の全部または重要な一部の譲渡
(2)譲受会社であれば、他の会社の事業の全部の譲受

 

会社が(1)または(2)を行う場合、原則として、効力発生日の前日までに、事業譲渡契約について株主総会の特別決議による承認を受けなければなりません。会社の今後の事業、ひいては株主の利益に重大な影響があるからです。ただ、その場合でも、例外的に「簡易」な手続と「略式」の手続が認められて株主総会決議が不要になるケースがあります。

 

まず、「簡易」手続が可能かどうかは、資産額の5分の1(20%)が判断の基準になります。譲渡会社では、譲り渡す資産の簿価が総資産額の20%以下のとき、他方、譲受会社では、対価として相手に渡す財産の簿価の合計が純資産額の20%以下であれば、それぞれ株主総会決議は要りません。このような場合は、その規模からみて株主に与える影響が小さいと考えられるからでしょう。

 

次は「略式」手続ですが、これは、特別支配会社(総株主の議決権の90%以上を所有している会社のことをいいます)を相手とする事業譲渡(譲受)の場合に、株主総会決議を省略できるというものです。

 

たとえば、A社とB社が事業譲渡契約を結ぶとしましょう(どちらが譲渡会社であってもかまいません)。A社がB社の議決権の90%以上を所有していれば、A社はB社の特別支配会社となり、B社側では株主総会決議を省略できます。B社の株主総会でその事業譲渡契約が可決されるのは目に見えているからです。なお、「所有」には、A社がその100%子会社などと合わせてB社の議決権を間接的に所有しているケースも含まれることを、ここで付け加えておきましょう。

 

事業譲渡に関しては、株主総会決議以外にも株主を保護するための手続が用意されています。次回は、その手続について考えてみようと思います。

 

M&A・企業組織再編部門
公認会計士 原田裕子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/

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