2008/04/10

8.事業譲渡に関する反対株主の株式買取請求権

今回のテーマは、事業譲渡に関する反対株主の株式買取請求権です。

 

会社の根幹に関わるような重要な事業譲渡(または事業譲受、以下「事業譲渡等」とします)を行うときには、原則として、株主総会の承認が必要になることは前回お話ししました。それが株主の利益に重大な影響をおよぼすため、株主総会で事業譲渡等に対する株主の意思を確認するものです。

 

しかし、株主が株主総会で反対票を投じても、事業譲渡契約が可決されてしまうこともあります。また、議決権のない株主がいる場合や、株主総会決議が省略される場合(これも前回お話ししましたね)もあるかもしれません。では、事業譲渡等に反対でもそれを止めることができない株主の利益は、どのように守られているのでしょう。

 

その場合、株主は、自分の所有する株式を公正な価格で買い取るように会社に対して請求することができます。事業譲渡等に反対の株主は、この権利(株式買取請求権)を行使して会社に自分の株式を買い取ってもらい、投資した資金を回収して自ら株主の地位を降りる、という選択ができるわけです。ただし、いったん買取請求した株主は、会社の承諾がなければこれを撤回できません。

 

ここで、どのような株主に株式買取請求権が認められるのかを整理しておきましょう。

まず、株主総会決議が不要な場合には総ての株主に認められます。次に、株主総会決議が必要な場合、議決権のない株主には認められますが、その株主総会で議決権を行使できる株主については、認められるための条件があります。それは、株主総会に先立って事業譲渡等に反対であることを会社に通知し、かつ、株主総会で反対することです。

 

株主がこの権利を行使できるように、会社は、効力発生日の20日前までに、事業譲渡等をすることを株主に対し通知しなければなりません(株主総会で承認されたときなど一定の場合は公告によることもできます)。請求権行使の具体的な手続についてはここでは省略しますが、買取価格の決定方法や支払方法なども詳しく定められていて、株主の利益が保護されています。

 

次回は、譲受会社や債権者の保護について考えてみたいと思います。

 

M&A・企業組織再編部門
公認会計士 原田裕子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/

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