中小建設業のM&A 「18.合併手続きについて詳しくお話しします」を追加しました

今回は、会社法で決められている合併の手続について、その流れを確認してみることにしましょう。

会社が合併するためには、主なものだけでも次のような手続が必要になります。

 

(1)取締役会で合併契約を決議

 

(2)会社間で合併契約を締結

 

(3)合併契約の内容等を記載した書面(またはCD-ROMなど)を本店に備え置く(事前備置開始)
   ※合併の内容を知る必要のある株主や債権者などのために、書類等を備え置いて閲覧できる

    ようにしておきます。

 

(4)株主総会の承認

 

(5)債権者保護手続
   ※「合併に異議のある債権者は○月○日迄に申し出てください」と、官報に公告し、債権者へは

    個別に催告します。

 

(6)株主の株式買取請求手続
   ※ 合併に反対の株主は、一定の場合に、会社に株式を公正な価格で買い取るよう請求できます。

    そのため、会社は合併の内容について株主に通知しなければなりません。

 

(7)合併の効力発生

 

(8)登記

 

 

このうち、(4)(5)(6)の手続は、必ずしもこの順番で終わらせる必要はありません。それぞれが効力発生日の前日までに終わっていればよいことになっています。

 

そこで、短期間に合併を完了したければ、これらの手続を並行して進めることになりますが、その際にネックになるのは債権者保護手続です。債権者の異議申述期間は1ヶ月以上必要なので、どんなに急いでも1ヶ月以内で合併することはできません。

 

また、合併公告では決算公告の開示場所を記載しなければならないので、会社が決算公告をしているかどうかを最初に確認しておく必要があります。もし、会社が決算公告をしていなければ、合併公告の前にそれを行うか、あるいは合併公告で最終貸借対照表の要旨を同時に掲載するという方法をとることもできます。

 

このような諸々を考慮にいれ、合併手続を完了するためには最短でも2ヶ月はかかる、そう考えておいたほうがよいでしょう。

以下に、吸収合併を想定し、効力発生日を4月1日とした場合の存続会社と消滅会社(ともに株式会社)の合併スケジュールの一例を示してみました。
※主要な手続のみ記載していますが、場合によっては他の手続が必要になります。

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次回は、株式交換と株式移転についてみていきたいと思います。

M&A・企業組織再編部門
公認会計士 原田裕子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/

 

前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/staff/