標準化と反省について【中小製造業のQCサークル:第13回】

前回までは、Nさんたちの「THE 金型名人」サークルが、改善策を実施し、みごと「立ち上がり品質トラブル・ゼロ」の金型製作に成功したことをお話しました。

今回は、この成果を今後の金型製作に活用するための「標準化」といわれる作業についてお話し、更に活動全体を通じての反省についてお話していきたいと思います。

標準化とは

標準化とは、対策を打って、成果が見られたものを日常業務のルールの中に取り込み、対策が逆戻りしないようにすることです。
標準化では、次の3点に注意が必要となります。

(1)仕事の勘どころを押さえ、要点を明確に文章にする
(2)実行する人が無理なく理解し、遵守できるものにする
(3)日常業務の中に根付かせ、継続していく

Nさんたちの事例では、今後の金型製作のどの範囲までCAE解析を実施するのか、多くに適用するとすれば、CAE解析用のコンピューターの社内導入も検討する必要があるのではないかなどの議論を重ねることで、標準化を図っていきました。

また、作成されたチェックシートも常に改廃が必要となります。
改廃を誰が、どのタイミングで行うのかというルール作りも、対策が後戻りしないための重要なポイントとなりました。

QCサークルを行う上で重要な「反省」

ここまで、Nさんたちは「金型納品後の品質トラブルの削減」をテーマに取り組んできたわけですが、最後に全体の流れの反省をすることもQCサークルの重要なステップです。

反省は、

(1) 「テーマの選定」や「現状把握」といった各ステップでうまくできたか(よかった点、悪かった点)。
(2) 結果として問題が解決できたのか。解決できなかったこと、やり残したことがあれば、今後どうするのか。
(3) 会合の雰囲気はどうだったか、皆が積極的に発言できたか、QC手法の習得は図れたか。

というように、QCサークルの運営の仕方を含め、全員で議論することが大切です。

このように反省をして、それを今後の活動に生かすことで、改善のPDCAサイクルがうまく回るようになります。
事例企業のNさんは初めてリーダーを務めたにもかかわらず、全員の参加を促し、意見の出しやすい雰囲気作りに努めたことで、今回大きな成果を得るに至りました。

これまでNさんたちの取組みテーマに基づき、QCサークルの各ステップの取り組み方とポイントなどをお話させていただきました。

最終回では、全体をふりかえり、今回お話したかったことをもう一度整理してお話したいと思います。
どうぞ最後までお付き合いください

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この記事の執筆者

犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。

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