経営会議にて管理資料を検討(その2)【今からでも遅くない、本物の会議をやろう!建設業、管理、組織活性化・第11回】

設備工事業を営んでいるA社は、経営会議の内容を見直し、経営幹部でもある各部門長の意識改革を進めることにしました。
まずは会議で使用する管理資料を「付加価値(※文末参照)」を意識したものに変更し、経営会議を開催することにしました。

新しい管理資料を使用した経営会議②

前回から経営会議の続き・・・

私:「今後は付加価値を重要な指標として見て頂きたいのです。最低でも固定費を賄う付加価値は確保しなければ会社は維持できません。固定費を賄うためには、どれだけの付加価値を確保する必要があるのか、ひいてはどれだけの工事を受注しなければならないかを判断する基準となります。」

楠営業部長:「営業部で付加価値を目標にするというのはどのようなことなのか?」

私:「昨年の工事別の工事利益を確認したのですが、赤字工事が結構ありますね。もちろん受注競争も激しく、見積段階で利益が確保できない案件も増えていると思います。どの程度の赤字までなら受注すべきだと思いますか?」

楠営業部長:「う~ん。顧客との関係やその後の仕事の状況を考えて、判断することが多いかな。」

私:「そうですね。それも重要な事ですが、見積段階で工事利益が赤字でも付加価値が1円でも出る工事なら場合により受注した方がいいケースもあります。」

楠営業部長:「ええっ、本当ですか?」

私:「1円と言うのは極論ですが、他に工事が無くて工事部で人が余っている場合は、工事利益がマイナスでも付加価値がプラスの工事は受注すべきです。付加価値がプラスであれば固定費が少しでも賄えます。もちろんこんな工事ばかりだと、会社は成り立ちませんから、会社全体の付加価値目標を設定し、付加価値率○%の工事をいくら受注すれば、付加価値目標を達成できるか、見ていくことが重要です。」

水上専務:「赤字工事、赤字工事といってもどれも同じではないのですね。会社に貢献している赤字工事もある。赤字工事を担当していてもがんばろう!という気になる。」

はじめは付加価値基準の考え方に戸惑いを感じた方もいらっしゃいましたが、会議毎に付加価値について管理資料を活用し実績報告を実施して行く中で、皆さんこれが会社の基準と考えられるようになりました。

実は最後まで、頭の切り替えができなかったのは営業部でした。長年営業部で一番大切な目標(指標)は「受注高(完成工事高)」であり、工事利益でも無かったため、付加価値といってもなかなかピンとこなかったのだと思います。

そこで営業部は、個別に全営業部員参加の営業会議を開催し、付加価値基準の浸透を図っていきました。

※付加価値の定義について
付加価値 = 完成工事高 - 外部購入原価(材料費、外注費、工事経費)となり、付加価値から労務費(社内労務費)、減価償却費などを差し引くと工事利益となります。

なお、付加価値の定義には色々とありますが、本記事では、上記の通り単純に考えることとします。

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