他社との違いから、自社の魅力を再認識してみよう!【実抜計画のスタートライン!自社のチャームポイントは何だろう?・第2回】

前回は、「自社の魅力を再認識することの重要性」をお話させて頂きました。

自社の魅力を確認する目的は、他社と差別化ができるかを考えていくことです。

今回から、具体的な会社の事例を基にお話を進めさせていただきます。
ご紹介するO社様では新しい取り組みをする際に、他社との違いをじっくり検討することができました。
そういった取り組みを通じて、自社の魅力が再認識される点にご注目ください。

 

熱転写マーク印刷加工業・O社様の事例

O社様は熱転写マーク印刷加工業で、常に技術開発に余念がなく、特許申請にも前向きに取り組まれています。

当社ではその当時、ある大手の取引先から新規の設備投資を含む、新しい製造法の商品を打診されていました。
かなりの金額の設備投資を必要とするものの、大きな取引が確保できることが見込まれていました。
ニッチな業界のため、ライバルは全国的にみてもあまり多くありません。
しかしながら、設備投資をして新製品の製造に取り組んでも、他社が同様の取組みをすぐにすれば、投資をしても割に合いません。

そこで、ポイントを『財務状況』『取引先との関係・状況』に絞り、ライバル会社が同程度の投資ができるのかどうかを検討しました。
まず、財務状況を確認するとライバル会社は新たな設備投資をする余力がないように思えました。
次に、取引先との関係(特に取引先担当者へのライバル企業の提案をそれとなく聞いてみると)では、技術や新製品を活用した提案営業がされている様子は見取れません。
※今回の新しい製造方法で作った商品は、取引先が最終商品へ仕上げる最終加工工程の手間を大幅に削減し、取引先にとって大きなコストダウンを生みます。
このような打診が当社に来たことは、取引先への営業活動の中で新製品や技術的な提案をする営業担当者が、日常の営業活動の中で常に行っていたことが要因だと思われます。

要は、「当社なら対応できるのでは?」と取引先に見られていた点が大きいのはないでしょうか。

※また、前回お話しした金融機関から求められる実抜計画でも、「実現可能性高いとは売上高、費用、利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなってること」といった要件があります。

自社の過去の想定から、売上高を見込むのではなく、取引先からのニーズに基づき、他社ではなかなか取り組めない、自社が独占できる売上が新たに確保できるということは、非常に実現性が高いと言えます。

このように他社の状況も含めて、検討するということはとても重要になります。
今後の成長に必要なものだと社長様は実感し設備投資への取り組みを決定しました。
そうと決まれば、今後の具体的な実現に向けた計画を検討していくことになります。

ここで、私どもより、経営革新計画(※)の認定を目標に計画策定を進めるご提案をし、応諾頂きました。
さて、次回は経営革新計画の認定を目標にする理由をお話していこうと思います。

(※)経営革新計画とは
企業が新たに取り組む事業活動の経営計画について、都道府県(国)が経営の相当程度の向上が見込まれる経営計画(経営革新計画)として承認したものを言います。経営革新計画についてより詳しくご覧になりたい方は、中小企業庁HP(経営サポート「経営革新支援」)をご参照ください。

この記事の執筆者

澤田 兼一郎
(株式会社みどり合同経営 代表取締役/中小企業診断士)

立命館大学経済学部経済学科卒業、第二地方銀行を経て当社に入社。中小企業を中心に、経営計画や事業計画の実行性を高める、現場主義のコンサルティングを実施。
特に中小建設業、製造業の経営管理体制の構築、実行力を高めていく組織再構築等のノウハウ等について評価を受ける。

この記事の執筆者

澤田

澤田 兼一郎
(株式会社みどり合同経営
代表取締役
中小企業診断士)

立命館大学経済学部経済学科卒業、第二地方銀行を経て当社に入社。中小企業を中心に、経営計画や事業計画の実行性を高める、現場主義のコンサルティングを実施。
特に中小建設業、製造業の経営管理体制の構築、実行力を高めていく組織再構築等のノウハウ等について評価を受ける。

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