M&Aにおける企業評価とは【中小建設企業のM&A・第2回】

今回からはM&Aの前提となる企業評価のお話です。

 

企業評価の意味

まずは、M&Aにおける企業評価のもつ意味について考えてみたいと思います。

M&Aは企業(事業)の売買であり、そこには買い手と売り手が存在します。

買い手にとってM&Aは新たな投資ですから、その結果得られるリターン(将来生み出される利益の合計、あるいは回収できる金額)、すなわち投資の価値が、投資にかかる資金や費用を上回ると期待できる場合にM&Aが実行されます。
買収対象がどんなにいい企業(事業)であっても、高い買い物であるならばそのM&Aは成功とはいえません。

一方、売り手にとって売却は投資の回収ですからより多くの回収を目指して努力するのは当然です。

そこで、M&Aにおいては、売り手と買い手が交渉し譲歩しあいながら、それぞれの許容できる範囲の中でお互いが合意できる取引価格を探っていくことになります。
そのため、交渉をスタートする時点で売り手・買い手ともに対象となる企業(事業)の投資価値を知っておく必要があり企業評価が行われます。

企業評価は売り手・買い手双方が独自に行いますが、同じ方法で評価したとしても評価額が同じになることは、まずありません。

対象企業に関する情報量の差、将来の収益の予測、リスク要因、資産の時価、シナジー効果などに対する考え方の違いが評価の差になってあらわれるためです。
つまり、企業評価は主観的な要因による影響を受けるため、絶対的な評価というものは存在しないのです。

 

企業評価の目的

M&Aにおいて企業評価を行う目的は、交渉の出発点となる水準の価格を求めることにあります。

この評価額をもとに、M&Aのスキーム、当事者の交渉力などによって最終的な買収価格が決まってくるのです。
したがって、M&Aにおける企業評価による評価額は、当事者が納得する取引価格を決定するための一要素でしかないということです。

企業を評価する方法については多くの方法がありますが、次回以降でその方法をみていくことにしましょう。

 

まとめ

M&Aにおける買収価格を交渉するためのスタートとして、企業価値を評価する。

関連記事