2014/06/05

第4回 「時間・人」当たりの生産性が倍になったD社の取り組み(2)

前回は、改善チームが間接作業を無くすことの重要性に気づいたところまでを
ご紹介しました。今回は、その効果について見ていきましょう。

 

■「積み重ね禁止」の効果

D社の工程は、材料切断→加工→接着→バリ取り→仕上げ→検査→梱包 の流
れでした。

このうち、「バリ取り→仕上げ→検査→梱包」のラインで、問題と指摘した「積
み重ね作業」を禁止にしてみました。
とは言いましても、作業者ごとに作業スピードが異なりますから、積み重ねな
いと手待ちになる状況が生じます。その場合は、後工程を手伝うようにルール
化しました。

その結果、各工程の間での積み重ね・積み下ろしが無くなって、無駄な作業が
削減され、付加価値を生む作業を行う割合が増えました。また、積み重ねとい
う状態での滞留が無くなったため、バリ取りを始めてから製品が梱包されて出
てくるまでの時間(リードタイム)が短くなりました。

改善チームのメンバーも「なるほど」と効果を実感してくれました。

 

■生産順番の問題

さて、「バリ取り→仕上げ→検査→梱包」の工程はスムーズになりましたが、現
場を見ていると接着後の仕掛品がなかなか減りません。接着後の仕掛品がたく
さん台車に積まれています。後半の工程がスムーズになったので、仕掛が減る
ことも期待していたのですが、何か別の問題があるようです。

「なぜこんなに仕掛品を台車に積んだままにしているのですか」
「生産を開始した後に生産の優先順位が変わるんです」
「ええっ?」
生産途中で、順番を入れ替えているため、仕掛品が溜まっているのでした。

状況をよく確認してみると、材料の仕分け場所が狭いため、当日の生産予定の
材料を取り出しやすいものから順番に投入していたことが原因でした。材料が
大きく、投入場所での取り回しが大変なため、とにかく接着工程まで進めて、
サイズが小さくなった段階で台車に載せて、そこで順番を入れ替えていたので
す。しかし、そのために工場の中は、仕掛品が積まれた台車で一杯になってい
ました。

「材料の投入は、出荷の順番にすることが原則ですよ! 材料投入前に優先順
位を決めることはできますか」
「お客様の引取と遠方への配送分が優先になります。自社配送分は翌朝にトラ
ックが出ますから後回しでも大丈夫です」
「では、その順番で投入しましょう」

「でも、材料置き場は狭いし、一人で優先順位の通りに材料を取り出すのは大
変です」
「材料投入係を一人増やしてもやる価値は十分あると思いますよ。それに、仕
掛品が減れば、材料の仕分け場所を広げることもできますよね。まずは、試
しにやってみましょう」

材料投入作業の手間は増えましたが、生産の流れがさらにスムーズになり、仕
掛品も減ってきました。改善チームが効果を実感した後で、台車は必要最小限
だけ残して、残りは全部倉庫に持っていき、工場内もスッキリと広くなりまし
た。

 

■改善の効果

その他にも、「仕上げ作業をする時に塗料が揃っていない」ことや「工場内の動
線の問題」など、改善チームからの問題提起もあり、徐々に改善を進めました。

このような改善を進めた結果、「バリ取り→仕上げ→検査→梱包」の作業におけ
る、作業者一人・1時間当たりの生産本数は、改善前の8本が半年後に12本、
1年後に14本、2年後には16本を超えるまでになりました。生産性は、なん
と倍になっていました。

中小企業で、通常の生産業務や作業者の教育も行いながらの取り組みですから、
時間はかかりましたが、大幅に「生産性」を向上させることができました。こ
れまで以上の受注を受けながら、残業時間を大幅に減らすことができました。

今回の改善のポイントは、付加価値を生まない間接作業を減らしたことと、出
荷順番通りに材料を投入して、工場内の仕掛品を減らしたことです。

このような改善方法は、作業のやり方を変えるだけですから、大きな設備投資
は不要です。皆さんの工場でも使えるのではないでしょうか。

次回は、多くの工場での共通の課題「ボトルネック」について考えてみましょ
う。

執筆者: 澤田兼一郎(中小企業診断士)、犬飼あゆみ(中小企業診断士)
執筆者ご紹介 →
http://ct.mgrp.jp/staff/sawada/
http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/

アドバイザー: MABコンサルティング 中小企業診断士/一級建築士 阿部守先生

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