2015/08/28

第17回 現場に任せて5S活動を定着させたK社の取り組み

前回は、5S活動の取り組み方について考えてみました。
今回は、現場に任せて5S活動を定着させたK社の事例をご紹介します。

■K社の概要
K社は食品メーカーです。野菜を原料とするお菓子の生産を行っています。
原料受入から各種の工程を経て、袋詰めの最終製品が出来あがります。
製品は、取引先への出荷の他、工場での直売も行っており、できたての
新鮮さが人気となっています。

■社長の悩み
当社は食品工場であるため、衛生管理が非常に重要です。生協向けの
OEM製品の生産も行っているため、立ち入り検査もあり、各種の指摘を受ける
ことがありました。現場では以下のような問題を抱えており、社長も特に
衛生管理につながる5Sの強化が課題だと考えていました。

(1)原料として使用する野菜の投入時に付着している泥・埃が飛散する。
(2)動線が隔離されておらず、原料投入場で靴に付着した泥が
生産ラインに持込まれる。
(3)皮むき後の皮や原料の余りが生ごみとして大量に発生し、臭気が
問題になる。
(4)養分を含んだゆで汁が床にあふれる。
(5)油で揚げるため、フライヤーや付近の床が油で汚れる。
(6)自動で選別した不良品が床に飛び散ることがあり、汚れの元になって
いる。

■5S活動の開始
そこで、社長は5S活動に取り組むことを決断し、工場長をリーダーに
任命し、各工程の責任者を集めてプロジェクトを結成しました。
さらに、パートを含めた全社員に対して5Sについての勉強会を行いました。
社長自ら5S活動に取り組む必要性と目的を説明し、外部のコンサル
タントが5S活動の進め方と、陥りがちな問題について解説を行いました。

そして、プロジェクトメンバーを中心に活動を始めました。活動時間は、
就業時間内に5S活動時間を設けて行いました。

(1)現場の確認
まず、プロジェクトメンバーで原料倉庫や事務所、休憩室も含めて工場
全体を見て回り、「これは必要なものか」「なぜ、ここに置いてあるのか」
「本来、ここにあるべきものか」「なぜ、汚れているのか」「この場所の
管理者はだれか」というように、気になる点をひとつずつ確認していきまし
た。そして、問題点を記録して写真撮影を行いました。

(2)重点管理
指摘事項の中から、優先的に解決すべき事項をピックアップして、
「どのように解決すべきか」をメンバーで検討して、対象区域で業務を行う
社員の協力も得て順番に対策を実行していきました。
原料投入機の改良など、費用の掛かる改善もありましたが、社長の承認を
得て行いました。

(3)定期巡回
5Sプロジェクトメンバーは、2週間に1回の現場巡回を継続して、
新たな問題箇所を見つけると解決対象リストに追加していきました。

(4)定着活動
一旦整理された箇所が再び元の状態に戻らないように、通路や置き場の
ラインを引いたり、表示を行ったりするとともに全社員に周知するように
しました。3ヶ月ほどで、活動が定着し、コンサルタントのサポートが
無くても自主的に活動できるようになりました。
工場内の整理・整頓・清掃も自然にできるようになり、その結果、
立ち入り検査での指摘もなくなりました。

■5S活動成功のポイント
K社の5S活動成功のポイントは、活動の開始に当たって、活動の目的と
ポイントをプロジェクトメンバーが十分に理解したことです。
5S活動は単に掃除をすることではなく、整理・整頓・清掃を進めた上で、
乱れない・汚れない仕組みを作ることだ、ということです。
そして、社長が、具体的な活動はメンバーに任せながらも、活動時間や
設備改善費用などについて全面的に支援をしたことが大きな要因です。

プロジェクトメンバーは、お菓子工場という特性上、昔から小学生の
工場見学を定期的に受け入れてきましたが、工場内の整理・整頓・清掃が
十分にはできていないことに、実は残念な思いをもっていました。
また、工場直売品を購入するためにお客様が来社されるのに汚れた工場
では恥ずかしいという思いもありました。
このことも5S活動に熱心に取り組むエネルギーになりました。

5S活動を成功に導くには、メンバーの強い気持ちと 整理・整頓・
清掃のできた状態を維持するための仕組み作りが大切なのです。

次回は、生産管理のまとめとして、改善活動実践のポイントについて
考えてみましょう。

執筆者:
澤田兼一郎(中小企業診断士)、犬飼あゆみ(中小企業診断士)
執筆者ご紹介 →
http://ct.mgrp.jp/staff/sawada/
http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/

アドバイザー:
MABコンサルティング 中小企業診断士/一級建築士 阿部守先生

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