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04/11/03

4. 売り場を預けて大繁盛〜個人スーパーのデータ戦略〜(その2)

今回もNHKの番組「21世紀ビジネス塾」10月15日放送の「売り場を預けて大繁盛〜個人スーパーのデータ戦略〜」の続きである。
ポイントは「情報共有」。地方中小スーパーでも、デルコンピュータやソフトバンクと同じような、サプライチェーンマネージメントや、インフラビジネス戦略がとれるということだ。

 

●顧客と向き合わなくなった「平目社員」企業が倒産の危機にしている
ダイエーと、三菱自動車には共通項がある。どちらも「平目社員」が多くなってしまっていることだ。(もちろんそうではない立派な志を持った社員も2割はいるが)
「平目社員」とは、上ばかり向いている社員のこと。「本社」や「本部」ばかり気にしていて、顧客や下請け業者と真正面から向き合おうとしない。
その結果、三菱自動車では下請の現場は、改善提案ができず、都合のいい情報しか上層部に伝わらない。クレームはできるだけ隠そうとする。そしてリコール隠しの問題が発生したのだ。
ダイエーも、「本部」ばかり気にするあまり、組織全体が指示待ち型になり、商品管理力が極端に弱くなっている。ダイエーの納品業者には、「イトーヨーカドー」のようなジャストインタイムの納品を要求されたら、とてもついていけないという業者が多く温存されているそうだ。
その結果、販売効率が極端に低下。ピーク営業利益を出していた92年2月期の1平方メートルあたり売上高は95万円であったが99年2月期には62.9万円にまで低下している。

 

●食品メーカーとの「情報共有」で成功
それに対し、前回ご紹介した、福岡県柳川市のスーパーマルマツは、徹底して顧客情報を納入業者と共有する戦略で成功している。
問屋に売り場を任せるという取り組みを前回見たが、今度は、地元の食品加工メーカーにもっと大きな裁量権で売り場を任せるという取り組みを見よう。
このスーパーは、もう一つ別のタイプの売場を設けている。それは「ねりもの」や漬物など、毎日納入される、いわゆる「日配品(にっぱいひん)」の売場。この売場を作るのは、地元柳川周辺にある36の食品メーカー。品揃えはもちろんのこと、ここでは価格の決定まで任せてる。食品メーカーの裁量を大きくする替わりに、商品が売れなければスーパーは1円も払わない。
食品メーカーは自由に商品を並べられるスーパーの売場を、いわば「自分の店」として位置づけ、消費者の反応を直接知るために活用しているのだ。それによって、顧客が欲しい商品をメーカーが「自動的に」理解するしくみが出来上がっている。これはダイエーとはえらい違いで、すばらしいことだ。
そしてこれは単純ではあるが立派な「サプライチェーン・マネジメント」である。

 

●サプライチェーン・マネージメント
最近、「サプライチェーン」や「サプライチェーン・マネジメント」という言葉をよく耳にするようになっている。デルコンピュータは、これで大成功し,1983に創業して1996年には世界のパソコン業界第2位になった。しかも利益面で低迷している業界のなかで高い利益をあげている。今や世界一のPCメーカーとなりつつある。
日本にいるユーザーが、自分の好みの仕様でパソコンを発注すると、13分後にはその仕様どおりのパソコンの生産がシンガポールで開始され、4日後には日本のユーザーの手元に届くと言われている。当事務所も、ほとんどのパソコンやサーバーをデルから購入している。
「サプライチェーン・マネジメント(注1)」とは、顧客ニーズをいかに生産から販売にすばやく反映させるかという経営管理手法である。過大在庫や不良在庫をもたずに効率的な経営を可能とする。地方スーパーでも工夫次第で「サプライチェーン・マネジメント」が出来るという事に驚いた。

 

● トヨタのジャストインタイムの流れをくむ
「サプライチェーン・マネージメント」の肝は、メーカーと販売店とユーザーの「情報共有」である。この「情報共有」ないと、個々の人間がいくら一生懸命仕事をしても、結果として不良在庫の山を作ってしまう。この手法は、アメリカから入ってきたように思われているが、実は、トヨタのジャストインタイムの流れをくむものなのだ(以下、次回に続く)

(注1)国際競争力強化センターの定義によると、「サプライチェーン・マネジメント」「原材料の供給者から最終需要者に至る全過程に及ぶ、顧客に価値をもたらしている製品、サービス、情報を供給しているビジネスの諸過程を統合することである」