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05/02/23

19. 複合化が付加価値を生む その10

MSCB発行が原因でライブドアの株価が急落した。判官びいきというものだろうか、ついこのあいだまでは生意気に見えていた堀江社長が、かわいらしく見えるのは私だけだろうか。今回は、勝負の行方と、インターネットに関する堀江社長の見識について。

 

●MSCB発行による800億円の資金調達
2005年2月8日にライブドアがリーマン・ブラザーズ証券から「MSCB」という特殊な転換社債の発行により800億円を調達し、対するフジテレビも大和証券SMBCから同じく「MSCB」の発行により800億円を調達する。
「MSCB(Moving Strike Convertible Bond)」とは通常のCB(転換社債)とちがって、転換価格が変動する社債で、信用力の低い会社が資金調達するときに用いられることが多い。リーマン・ブラザーズは、ライブドアの株価が下がれば下がるほど転換価格が下がり、有利になる。リーマンブラザーズは堀江社長からライブドア株約4600万株を借り入れる契約を行い、その内の890万株を10日付けで売却(空売り)していたそうだ。フジテレビ側の大和証券SMBC(Sumitomo Mitsui Banking Corporation)は純粋日本の金融機関なので、そのようなカラ売り行為はしない。ライブドア株の急落の要因はそういうところにもあるようだ。

 

●堀江社長はインターネットは何とでも「組み合わせられる」ことに気付いた
堀江社長は、インターネットに出会ったとき、「これは金鉱脈になる」と思ったそうだ。
なぜ金鉱脈になると思ったか。それは、インターネットが何とでも「組み合わせられる」ことに気付いたからだという。久留米大学附設高等学校の先輩・ソフトバンクの孫社長と同じく「組み合わせ法」の重要性に気付いている。
堀江社長は、すぐにホームページの製作会社を立ち上げ、大学は中退した。この実行力がすごい。その後は、企業買収を繰り返し、自己の持っていないものを「組み合わせ法」により補い、成長してきた。まさに、複合化が付加価値を生んできたのである。
今、ライブドアはインターネットを、金融・証券・通信・販売・経営管理と「組み合わせて」事業展開している。日本グローバル証券を買収したライブドア証券。ロイヤル信販を買収したライブクレジット。インターネット電話のSkype。会計業務ソフトを販売する弥生を完全子会社化し「弥生会計」と金融サービスの組み合わせ。そして、今回、放送事業とインターネットの組み合わせのところで、大きな勇み足をしてしまった。

 

●堀江社長の弱点
堀江社長の事業そのものの戦略性はまちがってはいない。しかし、戦略に溺れてしまうと大事なものが軽視されることになる。それは、「管理」である。戦略が、顧客重視の大原則にのっとり運営されているかを、細心の注意をはらって「管理」しておかなければならない。しかし、IT関係者やユーザーによる最近のライブドアの技術評価は決して高くない。最近の事例では、「ライブドア証券」で大規模なトラブルを発生させている。
現代企業にとって「顧客」とは単に「ユーザー」だけではない。「従業員」や「提携先」なども含めすべての関係者が「顧客」である。堀江社長の管理軽視=顧客軽視の弱点と、今回の強引な手法とは同根であり、そこに戦略上の問題点が噴出したということが今回の事の本質だと私は思う。しかしホリエモンにはそれを乗り越えてがんばって欲しいとも思う今日この頃である。