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05/04/06

25. 付加価値を生む複合化はどうすれば生まれるのか? その2

ライブドアとフジテレビの攻防は、まだまだ予断を許さないが、「英雄視されているホリエモンという男がどんなビジョンを持っているのか、本屋でめくってみたがゼロだったね」とは、ソフトバンク・インベストメント(SBI)の北尾氏の言葉。(4月3日朝日新聞)
何度も言うが、これがホリエモンの大きな問題だ。

 

●「構想力」は何から生まれるのか。
前回、高知工科大学総合研究所長、水野博之教授の、既存の組み合わせから新しい何かを導き出す力としての「構想力」をご紹介した。「構想力」が複合化を生むのである。しかし、構想力はどこから生まれるのだろうか。
構想力とは、平たく言えばビジョンやアイデアやイマジネーションやコンセプトを創る力である。古くから、哲学の世界で、カントやフィヒテなどの哲学者によって論じられてきた。「日本構想学会」というものもある。実は私の高校の同級生で、元大蔵官僚の加藤秀樹慶応義塾大学教授は「構想日本」という有名な組織を立ち上げて活躍しているが、日本構想学会の会員でもある。構想力については、様々な本が出版されており、構想力を鍛える様々なトレーニングコースもある。
ともあれ、企業経営の世界で、コンセプトやアイデアや経営理念が重要なことは、常識である。それらを生みだす力である「構想力」が、企業経営に極めて重要であることは言うまでもない。それでは「構想力」は何から生まれるのか。
結論を先に言おう。最近、企業の統計的分析の中で、「構想力」は「理念」から生まれることが実証されたと言える。理念が構想力を生み、構想力が理念を生むという、ニワトリが先かタマゴが先かの関係ではあるが、経営理念とイノベーションと企業利益の相関性が実証された。

 

●理念が独自性を生む
産能大学経営学部教授 宮田矢八郎氏は、日本経済の「10分の1モデル」としての『TKC経営指標(平成14年度版)』に収録された22万7千社の財務データをベースに収益の中堅・中小企業1万5千社を分析。さらにアンケートとヒアリング調査で6000社にのぼる経営者の生の声を収集分析した。そして、「優良企業」の「高収益要因」を6つ特定し、著書『収益結晶化理論』(ダイヤモンド社刊)で示した。これは画期的な研究成果である。
そして、『理念が独自性を生む』(ダイヤモンド社刊)で、その「高収益要因」を獲得している「要因」は何かを解析している。そこでは、「経営理念」と「企業利益」に強い相関性があることを以下のように、明らかにしている。

 1 経営理念と利益の相関性
 2 すべては自己実現の欲求から始まる
 3 自己実現欲求と社会の接点にイノベーションが生まれる
 4 経営理念は成長動機からしか生まれない
 5 経営理念のイノベーション効果
 6 経営理念の自己超越効果

つまり、「経営理念」がイノベーション効果をもち、イノベーションが企業に利益をもたらすのだ。第11回にも書いたが、シュムペーターも、「イノベーション(新結合)」は、その新規性ゆえに追随者をもたず、そこでは一種の独占的供給状態が生じ、この独占的状態における価格決定権こそ利潤の源泉であるとしている。
さて次回からは、なぜ「経営理念」がイノベーション効果を持つのかについて見て行こう。