
35. 加速学習(モデリング)」の手法 その1
通常2週間かかるものを1時間で学習することのできる「加速学習」の手法をご紹介しよう。これは企業経営にも使える。
●「モデリング」または、「加速学習」
前回書いたように、「成功の9ステップ」では、若い柔肌の女性も多い350人の受講生全員が、一人の脱落者もなく、火渡りを成功させる。それもたった1時間の準備で、全員が成功できる。これはすごいことだ。
「火渡りの儀式」といっても、神社などで観光客用に行われる類のもではない。観光客用のものは、真ん中には枕木のような横木がずーっと並んでおり、その上を歩くようになっている。木なので、周りは燃えていても全然熱くない。
しかし「成功の9ステップ」では、真っ赤に燃えている炭火の上を直接歩くもので、ヒンズー教などでは、準備に2週間くらいかけて行うものだそうだ。それをたったの1時間で全員が学習することができる。学習スピードは100倍くらいになる。これは「モデリング」または、「加速学習」と呼ばれる手法を用たもの。この手法は企業経営にとっても重要な技法だ。
●中小企業の弱点
「加速学習」とは、平たく言えば、最高の実績を上げている人を探して、その人が持っている「違いを生む違い」を見つけ出し、学ぶということ。火渡りの技を会得するのに、自分で試行錯誤しながら行っていては、どれほど時間がかかるかわからないし、永遠に出来ないかもしれない。
「凡人は経験に学び、賢人は先人に学ぶ」という諺があるが、中小企業の弱点は、とかく自己の経験や狭い領域の中で、試行錯誤で物事を解決しようとする点だ。コンサルタントにお金を払うことを惜しむ傾向が強い。そのような会社ほど、成長から取り残されていることは間違いない。
そして、「加速学習」では、単に自分の周りだけではなく、世界中を見渡して、最高の実績を持っている人を探し出すということも重要なポイントだ。
●ベンチマーキング
このように書くと、モデリングはベンチマーキングと同じだなと思われる方もいらっしゃるだろう。大きく違う面があるが、同じ面もある。
ベンチマーキングとは、ひとことで言えば「ベストに学ぶ」ということだ。ベスト・プラクティス(経営や業務において、もっとも優れた実践方法)を探し出して、自社のやり方とのギャップを分析してそのギャップを埋めていくためにプロセス変革を進める、という経営管理手法である。
ベンチマーキングは、米ゼロックス社で、L.L.ビーンの倉庫内業務からベスト・プラクティスを探究することにより大幅なコストダウンを実現しマルコム・ボルドリッジ全米品質賞を受賞したことで有名になった。
(参考:http://www.blwisdom.com/bizword/ben/ )
日本でも従来から松下電器に象徴されるように、大企業では極めて当たり前におこなわれているものだが、中小企業では大変に弱い部分である。
●中小企業の戦略は提携戦略
31回の「中小企業新事業活動促進法」のところでも書いたが、これからの中小企業の戦略は提携戦略としての複合化戦略だ。それも先進企業や大企業と提携し、それらの企業にとっては小さすぎて出来ないきめの細かいところを担当すればよい。
「モデリング」の手法は、複合化戦略にはピッタリと使える。中小企業は、もっと周りを見渡すことが必要だ。(次回は ベンチマーキングとモデリングとの違いについて)