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05/08/24

44. 新シリーズ・中小企業のための新会社法の実務 その2

Q:新会社法で、会社を設立する場合、株主や取締役・監査役は最低何人必要になりますか。

 

A:最低一人です。株主と取締役は同一人でかまいません。監査役は置かなくてもかまいません。新会社法では、小規模会社に高い自由度・柔軟性を認めていることが特徴の一つです。

 

●一人会社
株主数については、株主一人の「一人会社」が完全に認められるようになりました。現行商法では、「一人会社」は、株式会社、有限会社では認められていますが、合名会社、合資会社では会社の解散事由に該当し、認められていませんでした(注1)。
そもそも、人が何人か集まった「社団」を「会社」というのですから、一人では「会社」とは認められないという考えが根底にありました。しかし、何らかの理由で株主が一人になったとしても、いつでも増資や株式の譲渡により株主は増える可能性があるのだから、「潜在的社団」として「社団性」を認めた方が社会的に有用です。

 

●一人取締役
現行商法では、株式会社の取締役は3名以上とされています(第255条  取締役ハ三人以上タルコトヲ要ス)が、新会社法ではその規定が削除されました。したがって取締役は1名でも構いません。監査役をおく必要もなくなりました。
新会社法では、以下の理由から、小規模会社の運営に上述のような高い自由度・柔軟性を認めているものです。

 

●有限会社と株式会社を一元化
従来、有限会社では取締役は1名以上でよく、監査役は置く必要はありませんでした。株式会社でも、法律上の規定では監査役を置く必要がありましたが、実際のところ監査役は名目的な存在で、小規模企業において監査役が実質的な監査業務を行っている会社はあまり見当たりませんでした。
新会社法では、有限会社と株式会社の制度を統合し、また小規模会社の実態を考慮したものです。

 

●会社を「公開会社」と「非公開会社」に区分
新会社法では、会社を「公開会社」と公開会社以外の会社(「非公開会社」)とに区分しました。ほとんどの中小企業は「非公開会社」に該当します。
「公開会社」とは、株式を譲渡する場合に「会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社」を言います(注2参照)。ほとんどの中小企業は定款でこの譲渡承認の規定を置いていて同族会社的、閉鎖的経営を行っています。したがってほとんどの中小企業は「非公開会社」に該当するわけです。

 

●「非公開会社」には会社運営の自由を広く認める
「公開会社」には公開性と組織的運営を強く求め、「非公開会社」には公開性を求めず、会社運営の自由を広く認めたことが特徴です。
実際の会社運営上、従業員30人程度までの会社は、ワンマン経営者の下、意思決定を早くした方が却ってうまく行くケースが多いといえます。会社組織が整備されていなくても、社長の頭の中だけの仕組みでうまくやってゆけます。
しかし、従業員が100人を超えてきますと、社長のワンマン経営だけの会社ではうまく行かず、組織的な運営が必要になってきます。利害関係者に与える影響度も大きくなってきます。したがって「非公開会社」でも資本金5億円以上等の「大会社(注3)」に該当する場合には「取締役+監査役+会計監査人」の設置が最低限必要となります。

(注1)
商法では「社員ガ一人ト為リタルコト(第94条4項)」が解散の事由とされていますが、新会社法では「社員が欠けたこと(第641条4項)」に改められました。したがって、社員が0人になった場合にはじめて解散することになります。
(注2)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
五 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
(注3)
六 大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
  イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。
  ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。