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05/08/31

45. 新シリーズ・中小企業のための新会社法の実務 その3 定款の見直しの『恩恵』

Q:新会社法では定款を見直しすれば「恩恵」を受けることができると聞きました。どのような見直しですか?

 

A:たくさんありますが、中小企業において重要なものは、相続のあった株式の売渡請求の規定です。相続による株式の分散を防ぐことができるようになります。


他に、取締役の任期の最長10年への延長があります。2年に1度の役員変更登記費用と、登記の失念による罰金の軽減ができます。 
取締役の最低数の変更もあります。3人以上となっているものを1人以上3人以下というふうに変更しておくことも小規模会社では便利でしょう。取締役の員数あわせのために名義借りをする必要がなくなります。
今回は、相続のあった株式の売渡請求の規定について説明します。

 

●相続時の株式の買い取り規定の新設
現行商法では、会社にとって好ましくない者に株式が渡ることを避けるために、定款で譲渡制限規定を設けることができるようになっています。しかし、この規定では、売買による譲渡は制限できても、相続による株式の移動は制限することは出来ませんでした。したがって、相続によって株式が分散してしまい、トラブルの原因になることも多かったわけです。
新会社法では、会社が相続人等に譲渡制限株式の売渡請求が出来るようになりました。相続等が発生したことを会社が知った日から、1年以内であれば会社は相続人に対し、売渡請求ができます。

 

●定款変更例
売渡請求を行うためには、定款にその旨を定めておく必要があります(会社法174条)
【定款例】
第××条 当社は、相続その他の一般承継により当社株式のうち株式譲渡制限を取得したものに対し、当該一般承継により取得した株式を当社に請求することができる。

 

●売買価格
しかし、問題になるのは価格です。合意により価格が決まれば問題ありませんが、売渡請求する場合には、合意が難しいことが多いと予測されます。その場合は裁判所に株式売買価格決定の申請をすることになります。しかし通常裁判所の決定には半年から1年以上の期間がかかるようです。

 

●売渡側の税務上のメリットは大きい
そこで、実務的にはやはり何とかして合意を取ることです。このとき、売渡側(相続人の側)の所得税上のメリットを説明して、価格の合意を取ることも一法でしょう。
まず、所得金額計算上のメリットです。当該株式にかかる相続税を株式の取得費に加算して譲渡所得金額を計算できますので、所得金額が小さくなります(租税特別措置法39条1項・2項)。
つぎに、税率の利点です。通常は会社への株式の譲渡は、みなし配当となり、総合課税され、税率が高くなるのですが、この場合には20%源泉分離課税となり有利です(租税特別措置法9条の7)。