
米国消費者の環境対応レポート(4) 「金融危機と消費者の対応」
米証券会社リーマン・ブラザーズの経営破綻後、昨年7月のサブプライム問題に端を発した今回の金融危機は、ここにきてより深刻な状況を迎えています。政府の金融危機対策や投資家の動きはさておき、ここではこの金融危機が米国消費者にどのような影響を与えているかについてお話したいと思います。
前回までお伝えしてきたガソリン価格の高騰に加えて、マイホーム価値の減少、失業率の悪化、信用収縮によるローンやクレジットの困難化などの影響で、アメリカ人の消費はすでに大きく落ち込んでいました。まだ公式な数字は発表されていませんが、この9月までの第三四半期の個人消費は過去20年間で最大の落ち込みになるといわれています。その上で、今回の金融危機の深刻化ですから、第四四半期はまさに危機的な状況にあります。
テレビのニュースなどで、一般消費者が消費マインドについてのインタビューに答えているのを見ると、「外食を控える」とか「旅行をあきらめる」と話しています。実際に、外食店は一部の安価なチェーン店を除き、とても厳しい状況です。また、アメリカン航空では、9月の国内線搭乗者数が前年に比べ11.7%減と大きく低迷しています。
一方で、消費が増えている分野もあります。外食や旅行の代替品といえるかもしれません。外食を控えることにより、家で食事をする人が増えるわけで、食品スーパーなどの売上が大きく伸びています。また、「燃料費が高いから飛行機でも車でも旅行しない」、「外食もしない」ということになると、家にいる時間が長くなり、家でできるエンターテイメントがほしくなる。そこで、ニンテンドーのゲームや映画のDVDなどの売上は上がっているそうです。家計が苦しくなった際に、ゲーム等の売上が増えるというのは少し不思議に思えるのですが、「不況で人々が不安になったときにこそ、エンターテイメントが必要とされる」と米エンターテイメント業界会長は言っています。日本人とは少し違うマインドなのかもしれませんが。
また、クーポンの利用率が急激に上昇しているとのニュースもありました。もともとアメリカではクーポンが多く、アメリカ企業が行う消費者向けプロモーションの約4分の3をクーポンが占めているといわれています。(日本では店頭POPやサンプルが多いかと思います)。そのクーポン利用率が昨年比、日用品で153%、ファーストフードなどの軽食で198%となっています。消費者はただ代替品に走っているだけなく、同じものを買うにも、どうやって安く買うか、目を光らせているわけですね。
一方、マーケティング担当者としては、クーポン利用の状況を見ながら、その発行量を調整することで、自社にコストがかかりすぎないようにする必要があります。ただし、クーポンに慣れてしまった消費者に対し、その量を減らすことは容易ではないようです。そこで、クーポンを機に、どうやって消費者に新しい商品・サービスにトライしてもらうかが勝負となっています。
アメリカではこれから感謝祭やクリスマスなどのイベントが続き、1年で最も消費が活発になる時期を迎えます。この消費低迷がどうなるのか、またお伝えしていきたいと思います。
ご参考
○NYtimes.com ”Full of Doubts, U.S. Shoppers Cut Spending”
http://www.nytimes.com/2008/10/06/business/06econ.html?ref=business
○CNN.com ”Economic shock gives rise to coupon cutting“
http://edition.cnn.com/2008/US/10/09/coupons/index.html
みどり合同経営 コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/page/p_000198.html