効果の確認について【中小製造業のQCサークル:第12回】

前回は、事例サークルのNさんたちが、対策の実施にあたり、具体的な作業レベルや役割分担、スケジュール等を決めて、実施していったところまでをお話しました。
今回は、実施した内容に効果があったのかどうかを見極める確認作業についてお話したいと思います。

実施策の評価は各々の実施策ごとに、目標値や達成期限を守れたかを検証していくことになります。
上述したCAE解析の実施という事例では、計画した通りCAE解析を実施できたのかどうか、そして実施結果として「立ち上がり品質トラブル」がゼロになったのか、期間内に終わらせることができたのか、などを検証していきました。

直接狙った効果以外に、付随した効果があれば、それも確認していきます。
これは例えば、チェックリストを作成したことにより品質トラブルが減っただけでなく、「金型製作期間が短縮できた」などです。
また、定量的に表れるものではなく、定性的な効果もあるかもしれません。
「品質が向上し、得意先との関係が良くなった」、「社内での品質意識が高まった」などです。

このように、効果の確認では、「有形効果」、「波及効果」、「無形効果」の3つを整理すると、わかりやすくなると思います。
複数の対策を実施した場合には、可能な限り対策ごとに把握すると、今後も実施を継続していくもの、省略するものなど、今後の展開につながりやすくなります。

目標値が達成できなかった場合には、原因がどこにあったかを探り、再アプローチをかけていきます。
そもそも、実施までに至らなかったのか(実施策が非現実的だった)、実施したが効果がなかったのか(原因に対して対策がマッチしていなかった)によって、再アプローチの方法を検討していく必要があります。
また、目標が達成できた場合にも、それが本当に対策の実施による効果なのかを見極める必要があります。
「たまたま運がよかった」ということもあるからです。

効果の確認は、現状把握や目標設定と表裏一体です。
現状把握を定量的に行っていないと、効果の確認の段階で「効果は出ている気がするが、どうやって表現したらよいのか・・・」と頭を悩ませてしまいます。
このような反省については、次回お話しましょう。

事例企業のNさんたちは、計画した期間内にすべての実施項目をクリアし、結果、「立ち上がり品質トラブル・ゼロ」という大きな成果をもたらしました。
しかし、これを当社の全ての金型製作に展開するには少し時間も労力もかかりそうです。

次回は、この標準化と全体の反省についてお話したいと思います。

次回コラム

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この記事の執筆者

犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。

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