これは使える!ちょっと工夫”業務改善への道” 「工事原価管理と支払業務、経理業務のムダ(1)」を追加しました

前回まで、建築工事業C社様の工事部での工事原価管理についてお話してさせて頂きました。C社様では初め工事原価管理システムを導入し、現場別に発生原価の把握と実行予算をリアルタイムで比較しようとしました。

 

しかしC社では、社内の管理のしくみを見直し、社内ルールを策定するなどの取り組みにより、現状のEXCELを利用した管理で十分に成果を得ることが出来ました。次のステップとして現場事務所と会社をネットワークで結んだ原価管理システムを構築したいと計画しています。

 

今回からは、同じ建設業でも専門工事業のD社様での事例をお話致します。

 

【1.専門工事業D社総務部長の悩み】

 

専門工事業のD社様は、3ヶ所に営業所があり、主にスーパーゼネコンや地域のゼネコンから下請工事を受注している地方の中堅専門工事業者です。地域の小売店、医療施設、工場からの信頼も厚く直接工事を受注することも少なくありません。またメンテナンス部門を持ち以前から修繕を中心に対応していましたが、最近では改修工事の受注も増えてきました。

 

D社様も工事部門においての原価管理は、EXCELを活用しており、実行予算との比較も毎月実施しています。D社様の工事管理については、現在のところ問題はないのですが、外注先や材料仕入先への支払業務について悩んでいると総務部長より相談がありました。

D社様では景気が悪くなったこともあり、スーパーゼネコンからの大型物件の受注は激減し、その代わり小さな工事や、改修工事を中心に受注を行っています。

 

3年前に営業所を開設し営業を強化してきたこともあり、受注件数も以前の2倍ほどになっています。また、原価低減の取り組みに力を入れている事もあり、新規の業者を使う事が増え、支払い先の業者数も3年前の2倍ほどになっています。

 

 

しかしながら、支払業務はEXCELを利用しているものの手作業に近い形で行われており、業者からの請求書が到着してから支払い日までの短い日数で業務を行わなければなりません。現場責任者のチェックを受け、上司のチェックを受け、支払の段取りをするまで綱渡りの状態です。

 

幸いD社様は、財務状況が良く当座の運転資金に困るということがこれまでにはなく、毎月の資金繰りに苦慮すると言う事はありませんでした。そのため、支払業務についての大きな問題として認識されることが無かったと言うのです。

 

受注件数が2倍になったとは言っても、大型物件を受注していた頃と売上規模は同じですが、利益率は低下傾向にあります。総務部長は、資金繰りを半年先ぐらいまでは正確に把握したいと思っています。

 

総務部長の心配事は他にもあり、支払業務や経理業務を担当している女性社員2名があと数年で退職を迎え、業務の引き継ぎが急務である事、現状のままでは引き継ぎが難しい事などを心配されていました。

そこで私は業務の内容や流れを調査するために、D社に訪問することになりました。                         
                            

次回につづく。

 

みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yamashita/

 

前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c01/