これは使える!ちょっと工夫”業務改善への道” 「工事原価管理と支払業務、経理業務のムダ(10)」を追加しました

専門工事業D社では、実行予算管理から支払業務までを建設業特有の工事原価管理に対応した専用のソフトウェア(以下ソフトウェア)の導入を行い効率化することにしました。ようやくソフトウェアの選定も終わり、導入に向けて業者との打合せが始まりました。

 

今回からは、実際に運用出来るようになるまでの取り組みについてお話ししていこうと思います。今回は運用までのスケジュール、特に準備期間についてのお話しですが、一番ネックになるのが、従業員のITスキルではないでしょうか。

 

【11.運用までのスケジュールについて】

 

ようやく導入するソフトウェアも決定し、ほっとした感じのソフトウェア選定委員の3名(※3名とは、総務部の現在支払い業務を担当しているベテランの遠藤さん、若手でPC操作が得意な中村さん、工務部の優秀な若手で少し大人しい本田君です。)と総務部長は、ソフトウェア会社の営業香川さんを呼んでソフトウェアの導入~運用までのスケジュールを立てる事にしました。

香川さんから大まかなスケジュールについて説明がありました。

(1)IT環境の確認(パソコン、社内ネットワーク、サーバ)
(2)ソフトウェアのインストール、導入時の初期設定
(3)操作等の説明
(4)試用スタート(問題点の抽出、運用ルールの決定などを行う。)
(5)本稼働

 

香川さん: 「大体こんなスケジュールで進めて行こうと思いますがいかがでしょうか?」

 

総務部長: 「試用スタートまでどのくらいの期間がかかるのですか?」

 

香川さん: 「試用スタートまで最短で1カ月半、大体2カ月ぐらいではないでしょうか。ソフトウェアのインストール

        後、何回かに分けてマスター設定などの操作説明をさせて頂き、その後試用スタートとなります。

        また、パソコンの入れ替えやサーバを新設する必要がある場合は、2週間~3週間追加で見て頂く

        ことになります。」

 

総務部長: 「え~そんなにかかるの!本稼働までの試用期間はどのぐらいを予定しているのですか?」

 

香川さん: 「お客様によっても異なりますが、最低1カ月程度は必要です。」

 

中村さん: 「お客様によって異なるというのは、要するに従業員のITスキルによって変わってくるということです

        か?」

 

香川さん: 「おっしゃる通りです(少し言いにくそうに)。」

 

本田君:  「ITスキルは、従業員間でもかなり差があると感じています。」

 

中村さん: 「総務部門の女性は、パソコン操作には問題ないと思うけど、今回導入するソフトは、工務部での

        入力がメインになるんじゃないかしら。」

 

本田君:  「工務部では、パソコンを使う人と使わない人がはっきり分かれていて・・・。すぐにでも工務部全員

        のITスキルを調査し、試用までの約2カ月の時間をITスキルの向上に取り組んだらどうかな。」

 

遠藤さん: 「とてもいい意見だと思うけど、通常の仕事もあるし、そう簡単に進まないのではないかしら。」

 

一同:   「・・・。」

 

次回は、従業員のITスキルの向上という新しい課題にどのように取り組んでいったのかお話したいと思います。

 

みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yamashita/

 

前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c01/