「一体感」の必要性と作るポイント【組織活性化、経営計画の実行性を高めるポイント「一体感」について考えてみる・第2回】

一体感を作る5つのポイント

(1)経営者が考え抜いた上で経営計画を作り、社内に向けて目標と達成に必要な行動計画を明確に示したこと。
(2)会議等(情報共有)について、具体的には、検討事項、管理資料、参加メンバーを目的に基づいて常に見直し、修正してきたこと。
(3)キーマンを明確にしたこと(実弟の部長とキーマンの新部署の部長への登用)。
(4)取締役の動機付け。
(5)かつて信頼していた部長の定年退職と新卒3名(男性2名、女性1名)の採用。


信頼していた部長の定年退職

まずは、「(5)かつて信頼していた部長の定年退職と新卒3名(男性2名、女性1名)の採用。」から見ていきます。

実は、信頼していた部長というのは、客観的に見ると、経営者を支えるキーマンとしては適任者とは言えませんでした。
その方が会議や普段の日常業務で作っている雰囲気が大きな問題でした。

言行不一致で、他の幹部、従業員だれもがその部長を信頼していませんでした。
経営者に対しては、従順かつ自分の存在価値を高める言動により、経営者自身がその状況に気づいていない状況でした。

しかしながら、弊社で丁寧にその他の幹部、従業員の考え方や本音を聞き取りした上で発言者が特定できない形で現状の問題点を整理し、経営者と共有し、経営者自身も自ら問題点の確証を得るために、日々アンテナを張り続けることで、現状把握に至ります。

ここに至るまで、前回触れたとおり、数年の時間を要していますが、経営者自身が持っている認識や評価を冷静に見つめ直すには、相応に時間がかかってしまうことは仕方がないことだと思います。

当初は、退職後も嘱託として働いてもらうことを考えていた経営者でしたが、定年退職できちんと辞めて頂く決断をしました。
その後の会議、会社の雰囲気は、大きく変化しましたことは、業績からも見て取れます。


新卒の採用

そして、5年ぶりの新卒採用は、若手(若手といっても、20歳代後半から30歳代半ば)の従業員のやる気を大きく引出しました。
単純に、自分より若い、しかも新卒者が入社したことで、自分が働いている会社が将来も成長していくという感覚を実感できたからです。

また、女性が入社したこともあり、一気に雰囲気が変わりました。
数年前にパートの女性が退職したことで、女性がいませんでした。

しかしながら、新卒として女性が入り、お客様が来て頂いた時の気配りや対応が良くなり、会社が明るくなるという効果がでました。


経営者の仕事

今回「(5)かつて信頼していた部長の定年退職と新卒3名(男性2名、女性1名)の採用。」のポイントは、経営者が権限を有す、「人事」について大きな決断をしたことに他なりません。

部長の退職や新卒採用の人事の実行は、経営者しか有していない人事権を有効に活用すれば、会社組織が活性化をするキーになることを示しています。

一方で人事権は思い付きですると逆に、会社組織の活性化にマイナスにもなり、実行する時に慎重な検討が必要です。
今回、数年わたる検討期間を有したことが良い人事につながったとも言えます。

スピード感が求められる現代ですが、時間をかけて検討すべきことは検討するという、判別をしていくことも大事な経営者の仕事だと思われます。

この記事の執筆者

澤田 兼一郎
(株式会社みどり合同経営 代表取締役/中小企業診断士)

立命館大学経済学部経済学科卒業、第二地方銀行を経て当社に入社。中小企業を中心に、経営計画や事業計画の実行性を高める、現場主義のコンサルティングを実施。
特に中小建設業、製造業の経営管理体制の構築、実行力を高めていく組織再構築等のノウハウ等について評価を受ける。

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